介護現場では、職員とサービスの利用者との人間関係が重要視されており、常に質が高い介護を実践するうえで、利用者の尊厳の保持が大事なポイントとなっている。そのため、声掛けの際の言葉遣いやマナーなどに気を付けるのはもちろんのこと、相手の年齢や立場、健康状態などに配慮しながら業務を担当することが大切だ。また、介護職に就いてから間もない人の中には、利用者との関わり方について悩んだり、知らず知らずのうちに不信感を与えてしまったりするケースも珍しくない。そうしたトラブルを解決するには、職場以内で行われる業務研修を通じて必要な知識や技術をしっかりと習得したり、定期的に担当の利用者とコミュニケーションを取ったりすることが有効だ。
様々な持病や障がいを抱える利用者が生活している介護施設の中には、一人ひとりの介護職員が上手くコミュニケーションを取れるよう、業務研修の際に対人コミュニケーション研修を導入しているところもある。また、可能な限り個々の利用者の尊厳を傷つけないために、日ごろから利用者の家族と会話をしたり、生活相談員やケアマネジャー、同僚のスタッフと意見交換をしたりすることも重要だ。
なお、高齢者の尊厳に関する認識は、普段からあまり高齢者と接する機会が無い人にとって、すぐに身に付けるのが難しいこともある。そこで、仕事終わりや休日など空いた時間を使って、介護関係のスタッフを対象とした勉強会や座談会などに参加をするという方法もある。